How to make Fukuske
人形作りの工程
様々な視点から人形作りに関わり、腕を磨いてきた宮﨑さんに、人形作りの方法をお聞きしました。
1. デザインを決め、原型を彫る
宮﨑さんの作業机
1番難しいのが、この最初の工程です。
現在は福助さんからはデザインの案や細かい注文はないので、私が考えています。
デザインが決まったら、原型を東の本社でチェックしてもらうんです。
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デザインを紙に書いて考えます。
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昔は福助の社内にいた人から図案が来て、それを立体化させていた頃もあるそうです。 現在は宮﨑さんに全てお任せをしています。
2. 型をとる
繊細な福助の形を作るための道具たち。年季が入っています。
原型を作ってまず石膏型を取ります。
明治までは土で型を取っていたけど、今は石膏ですね。
原型を作るのにはすす竹やつげの木のヘラで土をほじったり均したりする。
焼き上がると、土から水分が抜けて縮まるから、原型より1割〜1割5分くらい小さくなります。
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原型作り。粘土で形を作ります。土は信楽土に京都の土を混ぜたもの。信楽の土は今はあまり取れず貴重だそうです。
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原型から取った石膏の型。福助さんの形になってる!!!
3. 型に土を流す
この下の穴から泥を入れるそうです。この時は寅年の年玉の型がありました。
この石膏型に、どろどろの粘土を流し込む。石膏型の底に穴が空いてるでしょ?
そこから入れると型に水分が吸われてだんだん乾いてくる。
そして、いらない土を出してさらに乾燥させて、窯に入れ、800℃〜1000℃で焼くと素焼きの人形ができます。
4. 色づけ
てんてんを入れてくださいました!!!
特におなかの部分に入れるのが大変だとか。
てんてんの数は決まっているのかが気になっていたのですが、数は決まっていないそうです。
立体だから色付けは難しい!左手でくるくる動かして色を付けていくんだけど、福助人形の裃のてんてんは特に根気がいるんですよ。このてんてんを私共は"チョボ"と呼んでいます。
1つ1つの大きさも合わせないといけないし、網目状にキレイに並ばないといけないからね。やっぱりここも立体だから、狂わないようにするのが大変ですね。
絵の具の濃さと、タイミングを作るのが難しいね。やっぱりこればっかりは、仕事の数をこなさないと難しいよね。
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色づけの大切な筆たち。様々な太さ、大きさの筆がありました。
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くるくる回して色づけをします。すごい角度の福助さん。色づけが終わった福助に見守られています。
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細かい部分の色づけは、さすが職人さん!でした。想像以上のスピードで塗られているのにも驚き!
手押しという方法
現在はほとんどが鋳込みで作られているそうですが、形に粘土をつけて形を作る手押しという方法も教えてくださいました。
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この土を
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型にはめ込む
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型が取れました!
これで前後の型を取って、
最後に底をつけるそうです。
※記事中の写真は、すべて2012年当時のものです。
福助人形を製作していただいている京人形師
宮﨑工芸社 宮﨑 隆さん
ご出身 : 京都府
長く福助さんのお仕事をさせて頂いて、いろいろと考たこともありました。流行を売るのが面白い時代と、それで本当に良いのかと思う時代もあるしね。でも、景気が良かったらどんなものでも売れるようなバブルの時代でも、きちんと色づけをした人形を求めてくれたし、今の時代にも土人形を会社の顔として使ってくれるのは本当に嬉しいよ。
福助人形は会社のための人形だから、会社の宣伝の一部として使ってほしいし、自分の物とは思っていないからね。今は毎年干支の絵シリーズで作っているけど、どんな形が良いかとか、意見を頂けたら精一杯、お答えしたいですね。
衣食住は人間の基本だけど、人間食べるものが無い時代でもやっぱりキレイな物は必要としていて、どんな苦しい時代でも人形に安らぎを求めて買ってくれる人がいるから、僕には跡取りはいないけどまだまだ作り続けていきたいと思っています。